官民連携事例

2020年09月17日
大分県包括連携協定
官民連携事例【1】オートバックスセブンと大分県の包括連携協定!全国初の高校常駐でICT人材育成など8つの分野で活躍!
大分県 と 株式会社オートバックスセブン による包括連携協定 INTERVIEWEE:オートバックスセブン ICTプラットフォーム推進部長 八塚昌明さん

官民連携の事例として、『大分県』と『オートバックスセブン』による包括連携協定の詳細についてインタビューを交え、レポートをまとめたいと思います。

オートバックスセブンさんと言えば、カー用品やカーメンテナンスなど、車関連の企業というイメージで誰でも知っている有名な企業さんです。
そんな有名な企業だからすんなり官民連携がうまくいったのか?と言えばそうではなく、大分県と包括連携協定が決まるまで苦労があったそうです。

自治体との話がうまく進まない

大分県以外にも、全国の自治体にアプローチをしたものの、ある問題に直面したと言うオートバックスセブンのICTプラットフォーム推進部長の八塚昌明さん。

それは、

これが全然マッチしない、ということ。このミスマッチを解消すべく努力しますが

と、時間が解決するでもなく自治体との話し合いが一向に進まなかったそうです。

大きな成果!本当の課題とニーズが明確に

そこで縁あって、官民クラウドの前身となるサービスで、地域が抱える本当の課題とニーズが明確になりました。

「自分たちの“思い込み”ではなく本当の声としての課題やニーズが明確になることで、より具体的に的確に自治体との連携の提案ができ、無事ミスマッチを解消することができました。これがいちばん大きな成果でした」(八塚さん)

全国ではじめて自治体約3万件の課題のデータベース化がもたらすもの

本格始動した官民クラウドの魅力について八塚さんから3つ挙げていただきました。

  1. 自治体の課題が明確であること
  2. 自治体の課題が整理されていること
  3. 無駄にしていた時間と労力が解消されたこと

官民クラウドは、全国ではじめて自治体約3万件の課題をデータベース化しています。
都道府県単位、課題のカテゴリ単位、キーワードでもデータベースから課題をピックアップすることができます。
八塚さん達の次のステップである他の自治体との官民連携でも、これが大いに役立つと考えてくれています。
なぜなら、多くの自治体は、共通の課題を抱えているケースが多いからです。

「今までは課題やニーズが不明だったので自治体へのコンタクトは飛び込み営業そのもので時間も労力もかかっていました。でも、官民クラウドはデータベースとして整理されているので、飛び込み営業ではなく、ピンポイントで見込みのある営業ができます」(八塚さん)

おんせん県との包括連携協定

温泉の源泉数・湧出量ともに日本一を誇るおんせん県である大分県。

由布岳

由布岳“豊後富士”とも呼ばれる人気温泉地・由布院のシンボル、標高1,583メートルの活火山。

別府血の池地獄

別府血の池地獄別府温泉にある日本で一番古い天然の地獄と言われています。

宇佐神宮

宇佐神宮全国に4万社あまりある八幡宮の総本社。国宝である八幡造りの本殿は必見です。

大分県とオートバックスセブンは、2019年3月19日に包括連携協定を締結しており、大きく8つの分野での官民連携に取り組んでいます。

  1. 交通安全・地域交通安全運転サポート、カーシェアリング、船舶の自動運行による離島航路の維持、濃霧における安全運航環境の提供など
  2. 介護福祉分野における移動支援・生活支援高齢者見守り、視覚障がい者の外出支援、山間部におけるドローンの服用薬配達、AIロボットを活用した日常・遠隔会話支援
  3. 観光振興トレッキング・登山者向けの入山管理・救助支援、観光地での訪問者数データ集計、ドローンを活用した観光地PRなど
  4. 農業支援ドローンや各種センサーを活用した鳥獣害対策支援、鳥獣害生態調査支援、果樹園・菜園の盗難防止
  5. 地域防災と防犯対策自動販売機による災害時の情報収集、AIを活用した災害予測と避難場所の提供、医薬連携による救援物資リスト 情報の提示、各種センサーを活用した空家管理など
  6. 女性活躍推進・青少年の育成女性や青年向けのアイデアソン、ハッカソンによるIT技術者育成、位置情報の収集による子供の見守り支援
  7. 環境保全海岸清掃ロボットによる清掃作業の軽減、ドローンを活用したエコパーク内の生態調査、植物図鑑アプリによるエコパークの認知度向上
  8. スポーツ振興・部活動支援・健康増進バイタルデータとAIを活用した競技力向上と熱中症対策、VRやドローンを活用したeスポーツイベントの開催

このうちの「6.女性活躍推進・青少年の育成」の産学官連携として大分県内の2つの高校での取り組み事例を2つ八塚さんにお話しいただきました。

事例1:日本初!校内“常駐”でのラボの開設!大分県立情報科学高等学校

大学との連携はしばしありますが、民間企業が高校の校内に常駐する連携としては日本初の取り組み。
八塚さん達オートバックスセブンの社員が校内ラボに常駐して、生徒さん先生達と授業を通し、地域の課題、その解決を具体的なビジネスにも結びつけるアイディアを具現化するお手伝いをされています。

「課題研究発表会」投票式のゴミ箱で楽しくゴミ削減など斬新なアイディアが目を引きます。 

「課題研究発表会」通学時の荷物の重さという学生ならではの問題とコロナを関連付けた教材のデジタル化。 

SDGsの17項目の目標も取り入れた高校生のアイディア発表会は、大人とは違う目線のアイディアが多く、大人でもハッとしてしまうものばかり。
それを実現する技術やプロセスをオートバックスセブンがサポートすることで、ただの夢物語ではなく1つの産業として具現化の可能性を見ることができます。

各班の発表会の様子はYoutubeでも公開されていますので、必見です。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?2015年に国連サミットで決められた国際社会共通の目標で、貧困や経済、平和など17の目標を掲げたもので、各企業や自治体も積極的に取り組んでいます。官民クラウドを運営するディースタンダード株式会社も推進委員会に加盟しています。

事例2:生徒考案“煽り運転防止ステッカー”商品化!大分県立国東高等学校双国校

産学官連携として、リアルな商売に触れることを目的とし、生徒考案“煽り運転防止ステッカー”の商品化を約1年かけ実現。
双国高校の生徒たちは、討論に討論を重ね、煽り運転という時事、武器である高校生らしさを出した緩いデザイン、手に取りやすい価格設定というマーケットインを考慮した煽り運転防止ステッカーを考案。

企画生徒さん達が班ごとに商品開発のアイディアを出し合います。最初は手探り・・・何度も議論しました。

プレゼン時間をかけ議論し、班ごとのプレゼンを行いました。プレゼンは中間・最終と2回に渡りました

商品化大分県の地形に手足が生えたオリジナルキャラクターが「あおるなえ~」と大分弁でゆる~く呼びかける

始めは商品開発の考えが単調で視野が狭かった高校生たちが色々調べ、オートバックスセブンと打合せしていくうちに視野も広くなり、社会に出る前の年齢で大手企業と商品開発を行うという経験は高校生たちにとって貴重な経験になったようです。

官民クラウドでは、今後もオートバックスセブンさんが掲げる他の分野の活躍も引き続き追っていきたいと思います。

日本のソリューションの海外への輸出

オートバックスセブンさんの今後の展開として、第一弾の包括連携協定となった大分県での経験を元に、他県でも積極的に官民連携を進めていく方針とのこと。

官民連携の形は、『随意契約』『プロポーザル』『入札』など様々ですが、『包括連携協定』という“様々な分野”にまたがる民間企業と自治体の協業という1つの形は、地域課題を長期的に包括的でありながら細分化したものでもあります。

企業側の大きなメリットとしては、

にあります。
自治体側の大きなメリットは、

です。

更に、オートバックスセブンさんの見据えている“未来”は、日本だけに留まりません。

今、日本は先進国として高齢化が進んでいますが、これから高齢化を迎えるアジア等の途上国へ、日本での課題解決を実績としたソリューションを持ち込んで役立てたい、という大きな目標をお持ちです。

官民クラウドも、その大きな目標への一端を担えれば、と思っています。

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